臨床研究と治験をめぐる最近の話題
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概要
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医学の進歩や新薬開発は基礎研究の上に成り立つが,最終段階ではどうしても人を対象とする試験研究により,臨床的な価値や安全性が明らかにされる必要がある.また人を対象とする試験研究段階では,科学的な質はいうまでもなく,被験者の基本的人権の保護にはじまる倫理的な側面への配慮が欠かせない.先進諸外国では人を対象とした試験研究は統合された制度のもと,単一の倫理と高い科学水準の下に行われているが,わが国では薬事法に基づく承認申請のための臨床試験(治験)と,施設内で行われ医学・薬学等の進歩を目的に掲げる臨床試験(臨床研究)の2つが並立し,異なる規制環境に置かれている.とくに後者はリソースが少なく済む反面,信頼性や科学性に問題のあるものもあり,ようやく制度的な改善に向け各方面の議論と努力が顕在化しつつある.わが国の臨床での研究成果がさらに役立ち世界に貢献し得るよう関係者の努力と取り組みの促進が望まれる.