弗素ゴム
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
弗素を含有する高分子材料は最近急速に進歩し、合成樹脂としてはTeflon, Kel-F等で親しまれている。ゴムの分野においてはブタジェンに弗素を導入して含弗素合成ゴムの製造を行う研究が行われ、Mochelらはフロロプレンの乳化重合により弾性体を得た、この加硫物は耐寒性はネオプレンFRよりも大で耐油性も優れているが、耐候性は一般用ネオプレンGNより劣り、一般の物理的性質に特に長所を有せず (GR-Sと略々同等) その後実用化されていない。またWakefieldは2, 3-ジクロロブタジェン及び2-クロロ-3-フロロブタジェンの重合により含弗素合成ゴムを得た。前者の単一重合物及びスチレンとの共重合物は硬くて革状を呈し、ブタジェンとの共重合物はGR-Sよりは耐オゾン性が大きいがその他の性質は耐寒性の劣る点を除きポリブタジェンと略々同等である。後者の重合物は耐オゾン、耐油性及び一般の機械的性質はネオプレンと略々同等であるが、高温における硬化はネオプレンより大である。これらの結果から一般にジェン類に弗素を導入して得られる弾性体は耐寒性その他の物理的性質が改良されないと結論された。<BR>1954年7月の第122回アメリカ化学会において2つの新しい弗素ゴムが報告された。その1はMinesota Mining & Mfc. Co.のStedryらのPoly-FBAで、他の1はM. W. Kerlog Co.のConroyらのKel-Fエラストマーである。この両者は耐薬品性及び耐熱性が従来の合成ゴムに比べて卓越する新材料でその概要を以下に記す。