加硫ゴムの研究 : (第2報) マーキャプト・ベンゾチァゾール加硫ゴムの結合硫黄について
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概要
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1. マーキャプト・ベンゾチャゾール(MBT)配合の加硫ゴムについて種々の型の硫黄を定量し、加硫進行に伴う各硫黄値の変化を観察した。<BR>2.ゴムと硫黄のみの配合に用いられているH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>・氷醋酸酸化によるチオケトン型結合硫黄の定量?法のMBT加硫ゴムへの適用性を検討し、H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>氷醋酸によつて定量される硫黄SH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>の中でゴム分子に化合している硫黄S<SUB>α</SUB>を求めるにあ、近似的にアセトンに不溶となつたMBTの影響を無視して、SH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>と無機サルファイド型硫黄との差で表せることを認めた。<BR>3.S<SUB>α</SUB>は加硫の進行と共に或最大値を経て再び減少し、その最大値は配合硫黄の約I/3の多量に達した。<BR>4.H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>・氷醋酸酸化でSO<SUB>4</SUB>″とならない結合硫黄S<SUB>β</SUB>は加硫の進行と共に漸次増加し、S<SUB>α</SUB>→S<SUB>β</SUB>の転移が認められた。<BR>5.20〜60lb/in<SUP>2</SUP>で加硫した試料の各種硫黄値の間には加硫温度に関係しない一定した相互変化が認められた。<BR>6.低温加硫の場合には最大の網目密度に達し、S<SUB>β</SUB>と網目密度の間に一定した関係は得られず、硫黄の変化に関係しない熱切断反応が起つていることが考えられる。<BR>終りにH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>氷醋酸酸化についての御教示を頂いた大北熊一博士に深く感謝します。