カーボンブラックの電子スピン共鳴吸収
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概要
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ゴムに対するカーボンブラックの補強作用の機構を明らかにする目的で, チャンネルブラック (EPC), ファーネスブラック (HAF), サーマルブラック (FT), の三種のカーボンブラックについて, 電子スピン共鳴吸収(ESR)を測定することによりフリーラジカルの形および量を研究した. その結果を要約すると,1. 吸収の波形および線巾は三つのカーボンブラックではそれぞれ異なっており, これはカーボンブラックの未端基, ひいてはフリーラジカルの性質が非常に異なっていることに基づくものと考えられる.2. フリーラジカルの濃度もこれら三つのカーボンブラックでかなり異なり, EPC>FT>HAFの順であった.3. 加熱真空処理により, ファーネス, サーマルの吸収波形はそれほど変化しないが, チャンネルでは処理後線巾が非常に狭く鋭くなり, かつ, 非対称性が強くなる.4. カーボンブラックのフリーラジカルの増加を目的として, Co-60のγ線を照射したところ, 三つのカーボンともフリーラジカル濃度の増加はほとんど認められなかった.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文