加硫ゴムの疲労寿命分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
加硫ゴムの疲労破壊を, ゴムに前もって存在するもっとも大きな欠陥より発生する破壊過程であると考えて, 疲労寿命の確率密度関数を求めた.加硫ゴムには種々の欠陥が存在するが, ここで取り扱うのは, 生ゴム中の異物 (dirt) とカーボンブラック中の異物 (主としてかたいcarbonaceous粒子) でありこの両者はその量と大きさにより, 実際上寿命に大きな影響を与える.さらに, 得られた寿命の密度関数の2つのパラメータについても考察した.主な結論は次のとおりである. (1) 疲労破壊発生核となる欠陥の大きさの分布は, 厳密極値分布にしたがう, (2) 天然ゴムとSBRとの実測された疲労寿命分布の大きな差が, 求められた密度関数によってよく説明される (近似的に, 前者は正規分布に, 後者は対数正規分布にしたがう).またこの差は, 天然ゴムとSBRの欠陥に対する敏感性の差による. (3) 等級の異なる生ゴムを用いた天然ゴムの疲労寿命の差は, これら生ゴム中の異物の量と分布の型に直接依存する.さらに, 天然ゴムの寿命分布のひずみ依存性についても検討した.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文