加硫ゴムのピコ摩耗現象に対する統計学的一考察
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概要
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加硫ゴムの摩耗現象を掘り起しによる疲労破壊現象とみなし, その典型的な挙動を示すといわれるピコ摩耗現象を対象にして, 統計学的にデータを解析した.一般に, ピコ摩耗現象は多くの要因が介入した複雑な物理現象であると考えられるので, 単的な判断を下すことは困難であるが, データは右側に歪む分布を示すことから, 純実験的に第3漸近最大値分布関数を適用してみた.えられたデータの数は少数にもかかわらず, 十分な適合性を期待することができた.この事実は, 摩耗現象が極値現象であって, そのデータは, 材料的に不可避な統計変動をとることを示唆するものである.<BR>分布関数には, 3つのパラメータ (υ : 特性値, ω<SUB>0</SUB> : 最大摩耗量, 1/α : スケールパラメータ) があるが, ω<SUB>0</SUB>は最大摩耗量を示すもので, 数学的には, この値以上の摩耗量は存在しえないということである.<BR>また, 同一配合ゴムで, データの分布に影響を及ぼすと思われる加硫度, 疲労の効果なども調べた.