無機ナノシートの電子デバイスへの応用
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概要
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有機物や無機物を用いた透明薄膜型電子デバイス(ダイオード、トランジスタ、太陽電池など)をめざした研究が最近大いに注目を集めている。我々はラングミュア・ブロジェット(LB)膜法を用いて、剥離した層状無機化合物(粘土鉱物、層状ニオブ酸など)の厚さ数ナノメートルの超薄膜を製造する方法を開発してきた。それを用いて修飾電極、湿度センサーなどへの機能開発を行ってきた。その研究の発展として、層状無機化合物を用いた薄膜状ダイオード、トランジスターの製作に成功した。第一段階として、剥離したペロブスカイト型ニオブ酸化物(TMASrsub>2Nbsub>3Osub>10)のキャスト膜が永続的光伝導性を示し、これらはn型半導体として働くことを明らかにした。つぎに第二段階として、p型半導体性を示す層状酸化物の探索を行い、最近人工合成された亜鉛金属を含む粘土鉱物(Na0.96[Si7.18Al0.64]Zn6.20O20(OH)2)がその条件を満足することを見出した。このような地球上に豊富に存在し、人体にも無害な粘土鉱物やニオブ酸などの半導体を電子デバイス材料として利用することができれば、今までにない環境にやさしい材料となることが期待された。その結果、剥離した粘土鉱物とニオブ酸のキャスト膜を用いてテロ接合界面を構築し、初めて無機ナノシートを用いた光ダイオード性を実現した。