膵臓β細胞の起源と新生
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概要
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ヒト、ラットやマウスなどにおいて生後の成長期には、体重増加に伴ってβ細胞数やランゲルハンス氏島(ラ氏島)数が急激に増加する。また、ラットやマウスの膵臓組織障害モデルにおいては、既存の細胞の増殖と組織再生が見られる。さらにNeogenesis(ネオジェネシス)も報告されている。しかし、幹細胞の存在の有無についてはこれまで議論されてきた。私たちは、複製後に脱分化して未分化状態になった膵管上皮細胞が幹細胞であり内分泌細胞や外分泌細胞を新生するのでないかと仮説を立てた。膵管上皮細胞が生後、幹細胞として機能しラ氏島を新生することができるのか、直接証明するために、ヒトCAIIプロモーター下(膵管上皮細胞特異的)にCre、CreERタンパクを発現する2種類のトランスジェニックマウスを作製し、これらのマウスにRosa26リポーターマウスを掛け合わせた。その結果、生後の成長期においても成体の組織障害モデルにおいても、膵管上皮細胞からラ氏島や腺房細胞が新生されることが証明された。