菌核菌の生化学的研究 : (第12報)原株Ss及び菌核形成能を欠く変異株Smのエステラーゼ組成ととくにSsリパーゼについて
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概要
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1. 菌核菌の原株Ssのエステラーゼ群には, Acetylesterase(AcE), Pectinesterase (PE), リパーゼ,フォスフォリパーゼなどを顕著に認められたが,菌核形成能を失った変異珠Smではリパーゼ並びにフォスフォリパーゼ等は比較的弱いことが分った. 2. これらめ酵素は両菌株における組成比並びに抽出性, pH-活性度曲線,阻害剤に対する態度などからそれぞれ明らかに別個のものであることを知った. 3. Ssリパーゼの生産にはフスマを基本とする培地がとくに優れており,馬鈴薯,大根などもこれに次いで良好であるが,合成培地では菌の生育速度がおそく,またC源として脂肪を添加しても殆ど効果は認められなかった. 4. AcE, PE等は培養の初期(増殖期)より分泌されて後期には殆ど生成されないが,リパーゼ,フォスフォリパーゼ等は培養の後期に,おそらく菌核の形成に先立つ代謝系の変換に伴って生成される. 5. Ssのフスマ培養粉末のリパーゼはパンクレアチンには僅かに劣るが,一般糸状菌の培養に比べれば遙かに強く, 7.0附近に至適pHを有し水では抽出され難い真性リパーゼであり,動物性及び植物性高級脂肪に対して広い親和性を有している.またフォスフォリパーゼ及びAcEなどはパンクレアチンよりも強く, PEは一般糸状菌及び植物界を通じて極めて強力な部に入るものとおもわれる. 6. Ssリパーゼの作用はCaCl2により顕著に促進される.また其の他のリパーゼの特性としての種々の作用条件についても検討した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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