Geodinに関する生化学的研究 : (第3報) F 29株及びその変異株の形態及び分類
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概要
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F 29株より単胞子分離により導かれた典型的Geodin産生株No. 2-12と, Geodin産生能退化株No. 2-04, No. 2-13及びNo. 2-12株より紫外線照射により導いた4変異株について形態学的観察と分類を行った. No. 2-12株はRaper & Thomの分類型式によるP. citrinum series, P. herquei series等に属する諸菌種或はP. paxilli等に若干の類似点を有するが,分生芽胞,分生芽胞柄,梗子等の諸特徴及び色素の状態等は上記の諸菌種とは明瞭に区別される.よって本菌株を新種と認めて,学名Penicillium estinogenum Komatsu & Abeを与えたが,なおその産生する色素が緑色調であること,梗子の形状,分生芽胞鎖の状態等を斟酌して,本新種をRaper & ThomのP. herquei seriesに属せしめた. No. 2-04株は準正常型と認められるが,分生芽胞柄は細長で,梗子とmetulaeに大形のものが見出される.又No. 2-13株はP. brevi-compactumに特徴的の短小で緻密な梗子とmetulaeを有する. 紫外線照射による変異株の中,U-54はGeodin産生株(350γ/cc)であるが, metulaeの数少なく,monoverticillateも見出され,梗子はdivaricata型である. U-52も低位のGeodin産生株であるが, penicillusは変化多く,梗子は長く又膨大したものが混じる. Geodin産生能の退化した2株, U-18及びU-76は夫々restrict型及びsubrestrict型で,前者はpenicillus不規則でmonoverticillateを混じ,一般に細くdivaricata型である.後者は不規則で多様なpenicillusを有し,metulaeは短く,又梗子は槍鋒状に長く又稀に膨大形を示す.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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