そらまめの褐変成分に関する研究(第1報) : そらまめ莢に分布する褐変成分の検索
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概要
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そらまめ莢の褐変現象に,主体的な役割を演ずると思われる成分の検索を行うため,莢組織のA, B, C, Dの抽出区分をつくり,夫々,ペーパークロマトグラフィにかけた. 展開剤はn-ブタノール・醋酸・水(4:1:1),発色剤は, Folin-Denisのフェノール試薬,並に,アムモニア性硝酸銀液を使用した. この結果, A, D抽出区分には,両発色剤の噴霧により現像されるスポットは,殆んど認められなかった. しかしB, C抽出区分には,夫々発色したスポットを見出した.すなわちB抽出区分には,フェノール試薬に.より5個のスポットが認められたが,アムモニア性硝酸銀を還元するスポットは,この内3個だけであった.しかもこれらのスポットの中でRF O.75は,他のそれに比較して銀塩の還元は著しく,且つフェノール試薬による呈色濃度も顕著であることから,褐変成分として,重要なものと考え,この部分の物質の同定を行った.すなわち,二三の定性反応,紫外部吸収の特性などから,この物質は,クロロゲン酸と推定した. 一方, C抽出区分のペーパークロマトグラフィて,両試薬により顕著に現像されるスポットは, RF O.23のみであった.本物質は,結晶状にとり出された.このものはm. p. 282°〜283° (発泡分解)分析値,紫外部吸収特性その他の定性反応により,本物質をdopaと同定した.