ペーパークロマトグラフィーによるわさび辛味成分の簡易微量定量法
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概要
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本法はわさびの栽培及び加工の現場での利用性を高めるために,長島等の方法を改良したもので,操作は次の通りである. (1)予め5ccの蒸溜水を加えた共栓付試験管にわさびを手早やに細片したもの約1g附近を正確に秤り取る. (2) 総辛味成分の定量の場合は,約30°で2時間放置後,現存辛味成分の定量の場合は直ちに,食塩1.5g,エーテル5ccを加え,静かに動揺し乍ら約30分抽出し,抽出液は予めアルコール2cc, 10%アンモニア水3ccを加えてある試験管に移し,抽出操作は更に一回行って水層は小量のエーテルで洗い,すべてのエーテルは前の試験管に合する. (3) エーテルを40°の水浴上で静かに蒸発させ,後24時間放置して,蒸溜水で正確に10ccに稀釈する. (4) 試料液は種々な稀釈度に稀め, 0.01cc宛,ペーパークロマト用濾紙の原点に点着せしめ,ブタノール・アンモニア(1:1)の溶剤で上昇法により5cm展開せしめる.後アンモニア性硝酸銀をスプレーしてスポットの発色の有無を検し,限界検出稀釈度を決定する. (5) 同一条件で濃度既知のアリルイソチオチアネイトを用いて,限界検出濃度を決定して置き,試料液の限界検出稀釈度より試料中の辛味成分の濃度を算出する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文