精製大豆油の戻色現像に関する研究(第8報) : 精製大豆油の戻色性ならびに酸化安定性に及ぼす吸着剤の影響
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概要
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吸着剤として活性白土,活性炭,乾燥活性アルミナゲル,吸湿活性アルミナゲルを使用して,大豆油について主として脱臭後の戻色性と酸化安定性に及ぼす吸着剤の影響を比較検討し次の結果を得た. (1) 見掛けの色素性物質に対する吸着力は活性白土が最強力で活性炭がこれにつぎ,活性アルミナゲルは最も劣るが,脱臭操作を加えるとその差は著しく縮少される. (2) トコフェロール,鉄及び石鹸に対する吸着性は,活性炭と活性白土は比較的類似して選択性はないが,乾燥アルミナはトコフェロールをよく吸着し,吸湿アルミナは鉄及び石鹸等の触媒性物質を特異的に吸着する. (3) 脱臭油の戻色最高値とトコフェロール濃度との間には,同一吸着剤について直線関係が成立し,吸着剤の種類により直線の傾斜tanθを異にする. tanθの値の順位は,吸湿アルミナ>活性白土≥活性炭>乾燥アルミナであって, tanθ差を生ずる原因はトコフェロール以外の微量触媒に対する選択的吸着力の差にある. (4) 脱臭直後の色度とトコフェロール濃度との関係は2次曲線となるが, tanθの小さい吸着剤では上向きconvexとなり, tanθの大きい吸着剤では下向きconvexとなる傾向がある. (5) 初期酸化速度は吸着剤の種類による影響を受けることが比較的少なく,主としてトコフェロール濃度により左右され,一元配置法による検定結果では100°静置酸化における大豆油の最適トコフェロール濃度は700〜800γ/gである.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文