パパインの作用機構に関する研究(第5報) : ぜラチンのパパインによる分子形態変化について
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概要
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(1) パパイン作用によるゼラチン溶液の比粘度低下率に包含される外的因子の検索を行った.温度35〜60°,圧力15〜30cm-水, pH3.5〜8.5,イオン強度0〜0.2で一定の比粘度低下率に対応する水解率にほとんど変化がなかった. (2) ゼラチン溶液の濃度と平行して同一の水解率に対応する比粘度低下率は直線的に減少し,このために固有粘度低下率は比粘度低下率よりも相当小さくなった. (3) 一定の濃度でゼラチン溶液の初期水解反応における比粘度残存率(ηsp%)と固有粘度残存率([η]%)との間に[η]%=D log(ηsp%)+E(D, Eは定数)が成立した. (4) 粘度平均分子量と固有粘度との関係式がパパイン水解作用の場合に異常であった. (5) パパインが作用する際のゼラチンの濃度によってその作用機作が異なると考えられ,実際に分子量の大小と軸比の大小との関係が並行せぬ2種のゼラチン部分水解物がパパイン作用によって得られた. (6) パパイン作用の際のゼラチン濃度の影響の原因はゼラチン分子間の相互作用に基づくものとパパインのゼラチン分子形状を変化させる作用にづくものの2種であることを推論した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文