Scopulariopsis brevicaulis蛋白分解酵素に関する研究(第6報) : Proteinase IIIの結晶化と二,三の性質
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概要
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Scopulariopsis brevicaulisを麩に培養して得られる少なくとも3種類の蛋白分解酵素のうち,その作用最適pHを11付近に示すもの(Proteinase IIIと仮称)を結晶状に精製し二,三の酵素的性質を検討した結果, (1) Proteinase IIIの結晶化は供試菌の麩培養抽出液を硫酸アンモニア塩析時の飽和度の差異,およびアクリノールと結合性のないことから他の蛋白分解酵素と分別し,さらにアルミナCγおよびAmberlite XE-64により精製し,アセトン液中で行なわせた. (2) 本酵素はpH 10.5〜11.0, 40°C付近でカゼインの分解能は最大で,熱に対してはやや抵抗性に乏しく,ことにアルカリ性下では速かに失活する.またpH 5.5付近ではかなり安定である.Co++およびヒ酸イオンは活性度を上昇させ,Cu++, Mn++およびCd++等により阻害される. (3) カゼインを基質としてα-キモトリプシン, AsP. ochraceus, Pen. chrysogenumの蛋白分解酵素および供試菌の別の蛋白分解酵素(Proteinase II)の4種の結晶標品と交叉試験を行なった結果では,α-キモトリプシンを作用させた後本酵素を働かせると以後の分解の進行は最も著しく,蛋白分子を細かく切断する上記糸状菌の蛋白分解酵素のいずれと交叉してもなお分解の進行をもへたらし, ProteinaSe IIIは強力な蛋白分解能をそなえ,上記4種の酵素がペプチド鎖へ作用する以外の個所にも切断を起すものと推察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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