デンプンにおよぼすグリセリール・モノステアレートの影響
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概要
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デンプンとモノグリとの相互作用につき,次のような結果を得た. (1) じゃがいもデンプンに対するヨウ素呈色を変化し,モノグリの添加量の増加と共に,ヨウ素呈色は青→紫→赤と変化する. (2) アミロースとモノグリが十分反応するには,アミロースの0.02〜0.1%の稀薄溶液において60〜65°, 5分以上の加熱が必要である.またモノグリの添加量はアミロースに対して5%で飽和され,それ以上添加しても吸光度は変化しない. (3) アミロペクチンに対しては,ほとんどそのヨウ素呈色を変化しない. (4) アミロースとモノグリとの複合体は,稀薄な(0.1〜0.5%)分散液においてβ-アミラーゼによっては非常に分解されにくいが,タカジアスターゼと唾液アミラーゼでは対照の同濃度のアミロース分散液と同程度,またはそれ以上分解される. (5) Schochの方法で製したアミロースは,モノグリにより複合体を作り沈殿する区分と沈殿しない区分とに分けられ,前者は後者に比して長鎖長である. (6) 天然デンプンよりKClの存在下アミロースを分離する可能性が見出された.モノグリ添加によるじゃがいもデンプンからアミロースの平均収率は約12%であった.