Escherichia coli 32におけるアセトイン生成とその制御
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概要
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(1) E. coli 32はブイヨン培地生育時(B-細胞)アセトインを生成しないが,同培地に糖を添加すると(GB-細胞)アセトインを生成する.アセトインの生産は合成培地(GM-細胞)を用いるとさらに促進された.VP反応陰性のE. coli32が培養条件により陽性に転換する現象を見出した. (2) E.coli32はアセト乳酸合成酵素を有しアセト乳酸を生成する.しかし,アセト乳酸脱炭酸酵素を欠損しているため原該生物のアセトイン生成経路によるアセトイン生成はE. coli32において不可能である.一方,E. coli32で強いcarboligase (CGase)活性が認められ,14C-アセトアルデヒドがアセトンに取り込まれることから,供試菌のアセトイン生成経路は真核生物と同じ経路(Neubergの経路)であることを明らかにした. (3) 糖の添加で細胞内のアセトアルデヒドの生成が促進され,さらに,GB, GM両細胞のCGaseは脱抑制された.また,CGaseとアセト乳酸合成酵素(ALS)は共に基質としてピルビン酸を必要とするが,GGaseのピルビン酸に対する親和力はALSの約10倍強い.ALSはCGaseの一方の基質であるアセトアルデヒドで阻害された.したがって,ピルビン酸に対するCGaseとALSの奪い合いはCGaseに有利であることが明らかになった.以上の結果から,CGaseによるアセトイン生成の生理的意義は糖分解により多量に生成したピルビン酸の処理機構の稼動であると推定した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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