タンニン類による酸化酵素の不活性化とアントシアニン色素の安定化
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概要
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酸化酵素を多く含む植物体よりアントシアニン色素を天然の状態で抽出する方法を見出すことを得的として,1)色素の酸化酵素による退色,2)タンニン類による酸化酵素の不活性化,3)タンニン類と色素の相互作用について検討を行い次の結果を得た. (1) アントシアニン色素(Dp, Pt, Mvおよびそれらの配糖体)がナス果肉より調製した酸化酵素により退色作用を受けることが認められた.その退色の度合は色素のB環の構造に著しく依存し,また配糖体はより強い退色作用を受けた.7種の色素の酸化酵素により受ける退色作用の強さの順序は次のとおりである.ナスニン>Pt-3G>Dp-3G_??_Mv-3G,アグリコンについてはDp_??_Pt_??_Mv. (2) ガロタンニンは酸化酵素を阻害する効果が著しく,さらに中性塩濃厚水溶液中では,その効果が増大するが没食子酸,(+)-カテキン,クロロゲン酸などは阻害効果はなく,かえって色素の退色を促進することが判明した.またガロタソニンによる酸化酵素の不活性化は両者を含む中性塩濃厚水溶液から生成した沈殿物を調べた結果から複合体形成によるものと推察される. (3) ガロタンニンはアントシアニン色素(フラビリウム塩およびアンヒドロベース)を複合体形成により安定化させ,一方,没食子酸は色素の退色を促進させる傾向のあることが判明した. これらの結果は,ガロタンニンと中性塩濃厚水溶液の併用が酸化酵素を多く含む植物体からジェヌイソアントシアニン色素の抽出に有効なことを示唆する.
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