α-アミノ・ジ・力ルボン酸類および L-ホモシステイン酸とイノシン酸併用による呈味効果
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概要
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グルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムを併用することによる味覚の相乗効果の存在をもとに,このような効果が生じる新しい物質の発見を目的にα-アミノ・ジ・カルボン酸ナトリウム3種,ホモシステイン酸ナトリウム,16種のアミノ酸およびコハク酸ナトリウム等とイノシン酸ナトリウムとを併用した場合の効果を検討した.その結果以下の知見が得られた. (1) アミノ酸系のうま味物質であるアスパラギン酸,グルタミン酸,アミノアジピン酸,オキシグルタミン酸,ホモシステイン酸およびイノシン酸の各ナトリウム塩の閾値を測定した.同様にして食塩1%溶液をベースに,前記5物質を各0.1g/dl添加した溶液におけるイノシン酸ナトリウムの閾値を測定した.その結果いずれも水溶液におけるイノシン酸ナトリウムの閾値0.025%よりはるかに低い値であった. (2) イノシン酸ナトリウム0.01%(閾値の1/2.5)溶液における前記5物質の添加効果はそれぞれの閾値の1/10〜1/30の添加量で明瞭な効果が発現する. (3) 前記5物質をそれぞれイノシン酸ナトリウムと併用しうま味増強効果を測定した結果,グルタミン酸ナトリウム水溶液と比較して2〜7倍の強さになることが判明した.しかしアスパラギン酸ナトリウム,グルタミン酸ナトリウムを除く16種のアミノ酸とイノシン酸ナトリウムとの問にはこのような効果は認められなかった. (4) 有機酸系うま味成分といわれているコハク酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムとの間には相乗効果は認められなかった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文