核磁気共鳴スペクトルによる飼餌料酵母の評価に関する研究 : Candida trpicalisの培養条件が細胞壁マンナソのNMRスペクトルに与える影響
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概要
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微生物タンパク質資源として供される酵母の加熱処理菌体の菌種を判定する方法として,細胞壁マンナンのNMRスペクトル法に着目し,まずCandida tropicalisマンナンのスペクトルパタンが,培養条件によっていかなる影響を受けるかを検討した. (1) グルコースを炭素源とした場合,菌体は酵母状を呈し,マンナンのスペクトルはδ:5.29, 5,19, 5.10, 4.97, 4.90に吸収を示した.このパタンは培養温度,pH,生育段階等により変化しなかった. (2) 炭素数13から16のn-アルカンを炭素源とし,Triton X-100を添加した培地に生育した菌体は,偽菌糸状に伸長し,マンナンのスペクトルはグルコースで培養したものとは著しい相違を示した. (3) しかし,この相違はIR吸収スペクトル,コンカナバリンAとの沈降反応ではとらえることができなかった. (4) エタノール,グルコース培地にTriton X-100を添加しても,スペクトルパタンに変化は認められなかった. (5) 以上の結果から,NMR法による菌種判定の可否について考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文