トウモロコシ黒穂菌腫の新多糖,ツェアガランの加酢分解物ならびにo-メチル化物について
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概要
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(1)試料を0.9%の濃度で純水に溶解し,超遠心機にかけた結果,各時間とも単一のピークが認められ,その沈降定数は19.5×10-13であった. (2)シェアガランの加酢分解によって,グルコースのほかにオリゴ糖10種が単離された.すなわち二糖3種,ゲンチオビオース,イソマルトース,およびラミナリビオースが同定され,三糖5種,ゲンチオトリオース,ラミナリトリオース, 3-O-β-D-グルコシルイソマルトース, 6-O-α-D-グルコシルラミナリビオース,および3, 6-di-O-(β-D-グルコシル)-D-グルコースが推定されさらに四糖2種, 6-O-α-ラミナリビオシル-ゲンチオビオース(あるいはイソマルトース)および6-O-α-D-グルコシルラミナリトリオースの構造が推された. (3)メチル化シェアガランから得たo-メチル化物をガスクロマトグラフィーにかけた結果, 2, 3, 4, 6-tetra-; 2, 3, 4-tri-および2, 4, 6-tri-メチルグルコースのメチルグルコシドが確認され, 2, 4-di-メルグルコースのメチルグルコシドが推定された.ピーク面積の比から,シェアガランの大部分が(1→6)結合から成り, (1→3)結合が26%前後含まれることがわかった.また,ピーク面積比から算出したシェアガランの平均鎖長は, 7.52であった. (4)今回,単離同定あるいは推定されたオリゴ糖の化学構造と,前報の酸加水分解物についての研究によって,シェアガランが分岐多糖であることが判明した. (5)単離された分枝糖, 3, 6-di-O-(β-グルコシル)-D-グルコースの化学構造と3-O-β-D-グルコシルイソマルトースの化学構造とから,シェアガランの1つの分岐点の化学構造を推定した.また(1→6)結合が多量で, (1→3)結合が少量含まれているシェアガランから,ラミナリビオースとラミナリトリオースが,単離されたので残り8種のオリゴ糖の構造を考え合せて,シェアガランの分岐した鎖状構造の中に(1→6), (1→3)結合が混在するであろうと推定した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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