ヒト卵巣癌細胞株およびヒト子宮頸癌細胞株からのシスプラチン(CDDP)耐性株の樹立とその耐性化機構の解析
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概要
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抗癌剤耐性化機構を解析する目的で, ヒト卵巣癌細胞株MCASおよびヒト子宮頸部扁平上皮癌細胞株ME180から, シスプラチン(CDDP)耐性株を樹立し, その耐性化機構を解析した. 両細胞株から同時にCDDP長期暴露法によりCDDP耐性細胞を誘導し, 限界希釈法により単細胞由来のCDDP耐性株を樹立した. CDDP耐性株は親株よりも50%細胞致死濃度が5∼125倍高く, CDDP誘発DNA断片化に耐性を認めた. MCAS由来CDDP耐性株は7株確立し, 5-フルオロウラシル(5-Fu)および4-hydroperoxycyclophosphamideに交差耐性を示し, 既知の多剤耐性遺伝子産物であるMDR-1, MRP, LRPの異常高発現を認めた. 一方, ME180由来CDDP耐性株は6株確立し, 今回検討した8種類の抗癌剤すべてに強い交差耐性を認めたが, MDR-1, MRP, LRPの発現には特徴的な変動を示さなかった. 同じ方法で樹立したにもかかわらず, CDDP耐性化に伴う遺伝子発現の変化はMCAS株とME180株で大きく異なっていた. これらのCDDP耐性株は, 抗癌剤耐性化機構の解析と, 耐性化克服法の検討に役立つと考えられる.
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