帝王切開術後の疼痛対策としてのpatient-controlled analgesia の有用性について
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概要
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帝王切開術後の疼痛対策としてpatient-controlled analgesia(PCAと略す)が有効であるかどうか検討した.対象は本院でPCAを導入する前の平成10年3月より平成11年10月までの間に帝王切開術を受けた患者20人(非PCA群)と,PCAを導入した平成11年12月より平成13年4月までの間に帝王切開術を受けた患者20人(PCA群)である.非PCA群では高比重tetracaine 8mgを用いて脊椎麻酔を施行した.PCA群では硬膜外カテーテルを留置したのち,非PCA群同様に脊椎麻酔を施行した.PCA群は児娩出後morphine 2mgを硬膜外腔に投与し,適宜2% lidocaineを用いて硬膜外麻酔を併用した.術後鎮痛としては,非PCA群ではdiclofenac坐薬またはpentazocine筋注を患者の訴えに応じて投与した.PCA群は術後クーデック・シリンジェクターPCA装置®を硬膜外カテーテルに接続し硬膜外PCAを行った.硬膜外持続注入用シリンジェクター®には0.05mg/mlのmorphineを含む0.125% bupivacaineを充填し2ml/hrの流量で開始した.術翌日の朝9時からは流量を半分にし,夕方過ぎまで持続投与した.PCA用のシリンジェクター®には0.25% bupivacaineのみを充填し,ロックアウト時間(鎮痛薬の注入を1度行ったのち,再度押しても薬液が注入されない時間)は30分に設定した.硬膜外カテーテルは術後2日目に抜去した.術後使用したdiclofenac坐薬やpentazocine筋注などの補助鎮痛薬の使用回数を比較すると,PCA群は非PCA群に比して術後24時間以内でも(p<0.05),術後24〜48時間の間でも(p<0.01)補助鎮痛薬の使用回数は有意に少なかった.以上のことより,PCAは帝王切開術後の疼痛対策として有用と思われる.〔産婦の進歩54(4):291-296,2002(平成14年7月)〕
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