還元型グルタチオン水溶液の嫌気的分解
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概要
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還元型グルタチオン水溶液の嫌気的分解について検討した. 水溶液はpH5.5〜7.5の間で最も安定であり,加水分解反応にみられるごときpH-profileを示す.ヨウ素法による定量とo-フタルアルデヒド螢光法による定量結果から,還元力を失わずに分解が進行することがわかった.分解物中のH2Sの生成は, pH7.5以下においては全分解量に対して2%以下である.分解速度は初濃度に影響され,初濃度が増大するにしたがって速くなり,分子間相互作用のあることを示した. ペーパークロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィー等によって,分解物としてピログルタミン酸とシステイニルーグリシンが検出され,グルタチオンの各構成アミノ酸であるグルタミン酸,グリシン,システインおよびシスチンは検出されなかった.また,還元型グルタチオンの分解量に応じたピログルタミン酸が,定量的に生じた. これらのことから,還元型グルタチオン水溶液の中性,弱酸性,弱アルカリ性での嫌気的保存における分解機構としては,還元型グルタチオンから直接かつ定量的に,ピログルタミン酸とシステイニル-グリシンを生ずるものと推定される.
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