子宮脱術後の経腟S状結腸脱出症(vaginal evisceration)の1例
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概要
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今回われわれは,子宮脱手術の2年後に腟断端からS状結腸脱出をきたした1例を経験したので報告する.症例は70歳代女性,2回経産婦.2年前に子宮脱および膀胱瘤に対して腟式子宮全摘術および前後腟壁形成術を施行,その1年後に直腸脱を発症して外科にて手術施行され,その際にenteroceleを指摘されていた.子宮脱手術から2年後,突然下腹痛と外陰部違和感を自覚し,半日ほど経過をみたが改善しないため当院救急受診された.腟からのS状結腸脱出を認め,同日緊急開腹手術(S状結腸還納+腟断端縫合)を施行した.術後経過は良好であった.経腟内臓脱出症はまれな病態ではあるが,今後高齢化や腹腔鏡下子宮全摘術の普及に伴い増加することが懸念される.子宮全摘術後で経腟内臓脱出症のリスクを有する症例には,腟断端縫合法の工夫や,術後の慎重なフォローが重要と考えられた.〔産婦の進歩60(3):224-228,2008(平成20年8月)〕
- 近畿産科婦人科学会の論文
著者
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