パラカゼインカードのシネレシスに関する研究(第2報) : 加熱乳のカードにおけるカードテンションおよび収縮力とそれら回復について
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概要
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未加熱乳と75°Cもしくは98°Cに30分間加熱し,減少したカルシウムを補足した牛乳からレンネットカードをつくり,それらのカードのテンションと収縮力を測定した.得られた結果は次のとおりである. (1)カードテンションはカードを切断するのに必要な荷重をばね秤もしくはひずみ計を用いて測定した.収縮力は著者らの考案した測定器で測定した. (2) 未加熱乳でも加熱しカルシウムを補足した牛乳でも,37°Cでつくったカードのテンションは50°Cでつくったものより高い値を示した. (3) 未加熱乳からつくったカードのテンションは,はじめ60分間のうちに急激に上昇し,つづいて次第に減少した.60分後から180分間経過するまでふたたび漸増した.加熱しカルシウムの必要量を補足した牛乳からつくったカードのテンションはカード形成温度の如何にかかわらず,未加熱乳の場合に比較して低かった.ただしその値のバラツキがかなり広い範囲にわたっていた. (4) 未加熱乳からつくったカードの収縮力は,カード形成後まもなく,急激に増加し,つづいてほとんど一定の状態となり,150分間後から次第に増加した. (5) 加熱した牛乳からつくったカードの収縮力は,必要なカルシウムを補足してもしなくても,カード形成後30〜60分間の間は認められるほどのものでなく,その後になって,ほとんど直線的に増加した.