各種処理による牛乳カゼインの変化に関する研究(第4報) : カゼイン溶液の加熱変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
カゼイン溶液を100°, 120°および140°でおのおの30分および60分間加熱した場合の変化について調べた.(1)デンプンゲル電気泳動の変化は, 100°, 30分加熱では, αs-とβ-カゼインの間に易動度を有する微量成分が消失し,主成分の境界も不鮮明になる傾向を示す.加熱温度および時間の増加に伴って,これらの変化も顕著となり, 140°では主成分はまったく消失し,全体に拡散した泳動図を示すようになる.ラクトースが5%共存する場合には,泳動図の変化は,全体としていっそう顕著になる傾向を示す. (2)アミノ酸組成の変化は, 140°, 60分加熱では,パリン,ロイシン,セリン,スレオニン,シスチン,メチオニン,リジン,アルギニン,ヒスチジン,チロシン,フェニルアラニンおよびプロリンが7〜30%減少する. (3)紫外部吸収スペクトルは, 240〜320mμの範囲で,加熱温度および時間の増加に伴って吸光度が増加する. (4) 140μ, 60分加熱によるTCA除蛋白濾液の窒素区分は, Sephadex G-25により2区分に分割され,燐は低分子の区分にのみ含まれていた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文