ガラス面に形成されたゼラチン膜のξ電位
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概要
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ゼラチン水溶液中でガラス繊維表面にゼラチンを吸着させ,ゼラチン膜でおおわれた繊維の水界面におけるζ電位を流動電位法によって測定し,ゼラチンの吸着挙動とガラス面に形成されたゼラチン膜の性質との関係について研究を行なった. ゼラチンを固着させたガラス繊維についてはつぎの結果を得た. (1) 繊維のζ電位は水に浸漬後数分以内で平衡値に達する. (2) 繊維はpH 4.5において等電点を示す. (3) 測定温度を6〜30°Cの範囲に変えた場合,ζ電位は20°Cまで一定値を示し,それ以上の温度ではわずかに上昇する. (4) KCl, KBr, KI, KNO3,K2SO4を添加するとζ電位はそれらの陰イオンのリオトロープ系列に従って,濃度約5×10-6M/lにおいて最高値を示す. (5) 吸着量の増加によってζ電位は段階的低下を示す. ガラス繊維そのものをぜラチン溶液に接触させて,そのζ電位を測定すると,ぜラチン濃度増加とともにζ電位はやはり段階的低下を示す.ζ電位はガラス繊維表面のゼラチン分子の配向性に大きく依存する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文