鹽分地土壤の微生物化學的研究(第6〜7報)
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概要
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臺南州下の鹽分含量を異にする數點の鹽分土に葡萄糖及び甘蔗枯葉を加えた場合のCO2發生量を測定し,分解作用の耐鹽性を調査した. 本實驗の結果では有機物の分解作用は概して耐鹽性が強く,高等植物の生育し得ない程度の鹽分土でも殆んど障害なく行われる様である. 前報と同一の土壤に0.1%に相當する硫黄華を加え畑地状態に於て硫黄酸化作用を測定した. 硫酸は時日の經過に從つて増してくるが鹽分含量とは無關係であり,同時にpHが低下するが,其の低下値は鹽分量の多い土壤程稍大きい傾向であつた.又これに伴つて不溶性の石灰が水溶性に變るが,その量は既存の石灰量及び其の形態によつて差異を生ずる様に思われる. 之等より硫黄の酸化作用は概して耐鹽性は強いと云い得,作物の生育し得ない程度の強鹽分土にも差支なく行われる事を知つた. 終りに臨み校閲を賜つた恩師大杉博士に厚く感謝の意を表する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文