クマリン誘導體の合成並にその抗菌性に就て : (第4報)ベンゼン核に数種の置換基を有するクマリン誘導体の抗菌性に就て
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概要
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3-Acetyl-4-hydroxycoumarinのベンゼン核にnegative並に, positive substituentsを有する数種の誘導体についてバクテリア,黴類,酵母に対する抗菌力を検討した. (1) 3-Acetyl-4-hydroxy-7-acetamins-8-bromocoumarinはバクテリア,黴類,酵母に対して平均して有効で広いスペクトラムを有し, St. aureusに対し16万〜20万倍結核菌に対し16万倍,火落菌に対し5万倍,Asp. oryzae, Penicillum glaucumに対しいずれも10万倍前後の程度でその発育をに阻止した. (2) 3-Acetyl-4-hydroxycoumarin並に3-Acetyl-4,5-dihydroxycoumarinはバクテリアに対しては1万倍の程度でも有効でないが,酵母,黴類,火落菌に対してそれぞれ8万倍,8万倍,2万5千倍の程度でその発育を阻止し,特に黴類に対して選釈的に効力を有する事がわかつた. (3) ブロム誘導体はバクテリアに対しては有効であるが,黴類に対しては5万倍以下の程度でのみ有効である上,酸性部分に於ける溶解度が小さいので,食品防腐剤として不適当であるように思われる. (4) 3-Acetyl-4-hydroxycoumarinはマウスに対する腹腔内注射により3.59/kgで致死量に達する程度であるので,特に食品の防腐剤としての使用には有効であると考えられる.その他のものの毒性は未だ検討してないめで,食品防腐剤としての検討は後に譲る. (5) 以上の誘導体の抗菌力はバクテリアに対してはAc・NH>Br>OH>H>の系列で増大し,醤油黴に対してはOH, H, Ac・NH>Br,黴類に対してはAc・NH>OH, H>Br,火落菌に対してはAc・NH>Br, H>OH,の系列に従い増大する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文