リンゴ果実におけるジョナサン・スポットの発生機構に関する研究 (第1報) : 表皮系の形態的変化と発生との関係
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概要
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1.ジョナサン・スポット発生の著しい紅玉果実の表皮系の形態的特徴を明らかにするため,ほとんどジョナサン スポットの発生を見ない旭,国光,インドの3品種果実とともに,その生長に伴なう果皮の形態変化を観察した。 2.いずれの品種の果実においてもジョナサン・スポットの発生部は水透過性の強い果点組織に限られており,かかる組織では気孔を中心として新らしく深い表皮裂開が存在し,コルク形成が不完全である。 3.この透過性の強い果点組織は,4品種の中では特別に紅玉に多く存在し,その数は採収時期,果面よりの蒸散量,湿度,温度感応においてジョナサン・スポットの発生数とまつたく一致した傾向を示した。 4.紅玉果皮ではcuticuleおよび果点の形成発達が最も劣り,表皮系細胞の配列は8月中旬まで生長初期の状態を保ち,8月下旬にいたるまで気孔が残存した。 5.以上の結果から,ジョナサン・スポット発生の1次的な原因は,紅玉表皮系の形態的な特徴である,水透過性の強い果点組織の形成にあると思われる。
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