札幌黄の雄性不稔利用によるタマネギの1代雑種について
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概要
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1958, 1959の両年,札幌黄の雄性不稔株を栄養繁殖したものならびに米国から導入した雄性不稔の系統に他品種または同一晶種内の異なつた系統を交配し,F1の実用形質を両親と比較した。 1. F1の草勢は幼少から旺盛で,生育全期を通じて強勢の傾向が認められ,ひいては球重に大きく影響する。 2. F1では葉数はわずかの組み合わせで増加を示し,抽苔株の出現したもの,成熟期に倒伏しない草型の傾向を示したものなど認められた。 3. F1の葉色,球色などは試験の範囲内では両親のほぼ中間を示した。 4.熟期は倒伏で比較したが,両親の中間が多く,両親の平均より早いものが多かつた。 5.球形は球形指数で比較したが,F1は両親の中間が多く,F1の整一性は1958年は低いようにみえたが1959年は高く,よく揃つた。中でも札幌黄を母親にした組み合わせは玉揃い演優れていた。 6.熟期の早晩と球形指数は類似品種の中では相関が認められるが,形質の異なつた品種では一概に云えない。 7. F1の球重は両親より重くなるが,組み合わせにより差異があり,時には両親より低いこともみられる。 8. F1の貯蔵性はおおよそ組み合わせの半ばが両親の中間で他は両親より高い傾向がみられる。 9.札幌黄を母とした場合の父親としてはDowning Yellow Globe, Brigham Yellow Globeなどが優れ,札幌黄を母としたF1は米国より導入の1代雑種や「米国より導入の不稔系統×札幌黄」より更に優良であつた。 10.導入の不稔系に他品種を集団交配する場合,札幌黄を父親にすれば玉揃いはよくなる。「Brigham Yellow Globe×札幌黄」は実用形質が優良で有望組み合わせの一つと思われる。 11.札幌黄の在来系統間F1も球重増加の傾向にあり今後吟味の要があろう。