蔬菜の塩害と窒素供給形態の関係 (第2報) : 数種葉根菜について
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概要
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ホウレンソウ, ハクサイ, セルリー, カブ, ニンジンをガラス室内で砂耕し, NaCl処理 (無加用および加用)と, NO3 (K, Ca, MgのNO3塩混合), NH4+NO3 (NH4NO3), NH4((NH4)2SO4) の3種N形態処理とを組み合わせ, これら蔬菜の塩害とN供給形態の関係を調べた。施用N濃度はすべて10m.e./l一定とし, NaCl加用濃度はホウレンソウ, ハクサイでは8000ppm, セルリーでは6000ppm, カブでは2500ppm, ニンジンでは4000ppmとし, また培養液のpHは6.2〜6.4に調節した。1. 各蔬菜の生育, 収量は, NaCl無加用および加用の場合とも, NO3区はNH4区よりもはるかに優れ, またNH4+NO3区は一般にNO3区と比べてほぼ同等もしくは劣つた。NaClが収量に及ぼす影響は各N形態について必らずしも同等でなかつた。2. 植物体の乾物率は, 一般にNH4区のほうで高くなつた。3. 外観症状は, NaCl無加用の場合では, NO3区は特殊症状を生じないが, NH4+NO3区はNO3区より葉色の濃い蔬菜があり, ハクサイでは葉のチリメン状が著しくてゴワゴワになつた。さらにNH4区は, 一般に葉全体あるいは葉脈間の黄化, 葉焼け, 葉の下垂などを生じた。枯葉率はNH4区のほうで高率となつた。またNH4区では細根が褐色あるいは紫色をおびる蔬菜があつた。NaCl加用の場合では, NH4-N施用は不利な特殊症状をNaCl無加用の場合より一層著しく生じた。即ち NH4区では一般に黄化が一層顕著で. 蔬菜によつては葉質が非常にもろかつた。なおハクサイではCa欠乏と推定される内葉周辺の壊死が, NO3区よりNH4+NO3区でさらに顕著であり, NH4区は極めて生育不良で, 全体的黄化, 葉縁の壊死, 葉焼げなどを現わした。ニンジンはNH4+NO3, NH4両区で高い岐根率を示した。4. 植物体の無機要素含量については, NaCl無加用の場合では, NH4-Nの供給割合の増加につれてNは一般に葉, 根中とも増加の傾向を示し, Pは葉中では増加したが根中では不規則であつた。K, Ca, Mgなどは葉, 根中とも一般にNH4-Nの割合の増加につれて減少した。NaCl加用の場合も, 葉中N含量が一般にNH4区の方で減少した他は, 各要素につきおおむね上記と同様の傾向であつたが, 一般に必須 cation はNaとの拮抗による含量低下をきたした。なおCl, Naは葉中ではNH4-Nの割合が増すにつれて増加したが, 根中では蔬菜により傾向を異にした。5. 過剰のNaClが存在する場合, 供試蔬菜のN源として, NO3-NはNH4-Nよりはるかに優れ, NH4-N施用は必須 cation とくにCaの著しい吸収阻害や, ClおよびNaの葉中集積の増加などをぎたし, 種々の不利な影響があることに注意を要する。
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