カンキツ果実の発育に関する組織学的研究 (第2報) : 種, 品種間差異について
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概要
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早生温州および八朔の果実について, 果実各部の発育経過を主に外部形態的に調へ, 前報の普通温州の結果とあわせ考察することにより, カンキツ類果実の発育に関する種および品種間の差異や共通性を明らかにしようとした。1. カンキツ類の果実発育の共通性は果皮と果肉がそれぞれ異なった発育周期をもつていることで, 最初に果皮が急激に肥厚し, ついで果肉が急激に肥大する。これに伴なつて, 果皮の厚さの顕著な減少が起る。その後は相当期間, 果皮と果肉はほぼ均衡を保つて発育するが, 成熟期には, 果皮の発育の減退, 停止は果肉のそれより遅れて起る。種類によつては, その後再び果皮のみ発育を続ける場合もある。2. 幼果の果皮が急激に肥厚する時期は, 細胞分裂かきわめて盛んになる時期であり, 果皮の厚い八朔は, 普通温州に比べてこの時期の細胞分裂が著しく盛んで, かつその期間が長い。2. 果実の発育期間を Stage I (細胞分裂期), Stage II (細胞容積増大期), Stage III (成熟期) に区分した。その結果 Stage I の長さは, 八朔>早生温州>普通温州の順序であり. Stage I の長い種類ほと Stage II における肥大が急激で, 肥大量も大きい。Stage II の長さは, 普通温州>八朔>早生温州の順序で, 果実の大小や熟期との間に一定の関係はない。Stage III の長さは, 八朔>普通温州>早生温州の順序で, 長いものほど熟期がおそい。4. 果実の大きさとそれに含まれる砂じようとの関係を調べた。八朔や伊予柑は早生温州や普通温州に比べて, 一果中の砂じよう数が少なく, 個々の砂じようが大きい。同じ種類に属する果実の中では, 各種類とも大きな果実は砂じよう数が多い。早生温州や普通温州は八朔や伊予柑に比べて, 果実の大きさの差異が砂じよう数の多少に依存する程度が高い。
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