イチゴの花成と栄養生長に関する研究 (第4報) : 苗齢および葉数の相違が花芽分化に及ぼす影響
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概要
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イチゴ (品種, 幸玉) の無仮植および仮植苗を使つて, 葉数の多少 (苗の大きさ), 苗齢の相違, 仮植の有無などと花芽の分化, 発達との関係, 若葉または老葉が花芽分化におよぼす促進または抑制的影響, 種々の摘葉処理と花芽分化との関係, 親株がランナーの花芽分化に関連性をもつかどうかなどについて実験した。1. 自然状態では, 苗の大きさ特に葉数の多少と花芽分化の遅速との間には, 明らかに関係が認められ, 10月中旬で5枚前後の葉をもつ苗の花芽分化が最も早く, それ以上またはそれ以下の葉数の苗では遅れていた。2. 7月から10月までの間に発生したランナーは, 無仮植状態では, 9月に発生したものの花芽分化が, 最も進んでいたが, 同期日に仮植した苗では, 8月に発生したランナーの花芽分化が進んでいた。3. 無仮植苗と仮植苗について, 葉数 (苗の大きさ) の同じグループの花芽分化, 発達を比較すると, 無仮植苗の方が進んでいた。4. 摘葉によつて, 一定の葉数 (2〜6枚) に制限した場合, 花芽分化, 発達は, 無仮植苗では5枚のものが, 仮植苗では4枚のものが, 最も進んでいた。5. 地上部の全炭水化物含量は, 無仮植苗が仮植苗よりも高く, 水分含量は仮植苗の方が高い値を示した。6. 若葉または老葉が, 花芽分化におよぼす促進または抑制的な影響は, はつきりとは認められなかつたが, 老葉を摘除した個体の花芽分化は, 若葉を摘除したものより, やや進んでいた。7. 親株は, それと連絡のある若いランナーの花芽分化を, 抑制または促進するような影響を与えているとはいえなかつた。