キクの開花調節に関する研究, 調節物質の作用を中心として : I. 花成刺激に対する長日葉の抑制作用
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概要
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頂部の展開葉5〜7枚以外の葉を摘除して短日処理しても, 発らいまでの日数は全葉の短日処理と変わらなかつた。展開直後の未成熟な葉1〜3枚の短日処理によつても発らいした (品種, 松の誉, 銀波)。展開直後の未成熟な2枚の葉を短日または長日, 下位の葉を逆に長日または短日とする部位的短日処理を行なつた (品種, 岡山平和)。伸長と葉の展開速度は全体短日処理において著しく, 全体長日処理では劣つた。上位2枚の短日処理では, 発らいは下位の長日葉よりし著く遅れた。下位に対する短日処理では, 上位2枚の長日葉による発らいの遅延は小さかつたが, 茎の伸長と葉の展開速度が抑制された。下位8枚を短日, 上位2〜6枚の成熟葉を長日として長日葉数の影響を調べた (品種, 岡山平和)。実験開始後新しく展開する未成熟葉はそのつど摘除した。長日葉の数を増加するほど発らいと茎の伸長が抑制された。ついで下位の短日葉数を6枚, 上位長日葉を10枚として発らいに対する長日葉の抑制を調べた (品種, 岡山平和)。発らいを完全におさえることはできなかつた。長日葉の短日葉に対する抑制について次のように考察した。花成刺激物質は生長点に転流されて生成点の分裂を盛んにする。長日葉で生成されるある種の物質が生長点に転流され, 生長点における花成刺激の作用を抑制する結果発らいが遅れ茎の伸長と葉の展開速度を減少する。
- 園芸学会の論文