施設の栽培環境管理に関する研究 (第1報) : 冷房花卉温室内の気象条件について
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概要
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1. 気化冷却法による温室冷房の実用化が進められつつあるので, 筆者らは滋賀県草津市で3群の大型実用温室についてその施設, 設備と室内気象条件の関係を調査した。2. 調査に用いられた温室は, どれも東西棟, 多連棟の温室で, 建物の構造, 床の状態はもちろん通気型や作物の種類も違うもので, 調査は7月4日より17日の間, 3〜4日ずつ晴天日を選んで, 主として温度と風速について測定によつて行なわれた。3. その結果, 棟方向に対して通気方向が直交する多連棟温室では, 温度は棟部で極大, 谷部で極小値をとりながらパッドからファン側へと室内で上昇し, 外気温に近い値となつて室外に出た。風速は全く逆に棟部で極小, 谷部で極大値を形成した。4. 他方, 通気が平行型の温室では温度, 風速は比較的直線的に変化したが, 温度の室内上昇が直交型にくらべてかなり大きかつた。5. 草丈が高くよく繁茂しているバラより, カーネションの方が概して室内が低温で, 温度の上昇も少なかつた。同じカーネション栽培でも, ベンチよりベッドのほうが低温であつた。6. 冷房設備の冷却能力を, 顕熱交換による冷却と気化冷却に分けて考えるとき, 前者は主として冷却水の水温と水量によつて決まる量で, 比較的一定であるが, 後者はパッドの設置方位, ファンの能力やその時の天候に支配されやすい。