キクの開花調節に関する研究調節物質の作用を中心として (第2報) : 長日葉で形成される抑制物質の作用
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概要
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1. 前報にひき続き, 秋ギク (銀波) の長日葉が花芽形成におよぼす抑制を調べる目的で, 長日葉の葉位と枚数を異にする部位的短日処理をおこなつた。草たけ約20cm, 展開葉数約22枚の苗を使用した。上位の7枚または3枚の展開葉に短日 (約10時間日長) または長日(約16時間日長) を与え, それらより下位のすべての葉には逆に長日または短日を与えた。2. 下位の長日葉の影響。短日葉が7枚の場合は,初期 (15日間) の茎の伸長と葉の分化が, 全葉短日区に比べて, やや小さかつた。発らいまでの日数については長日葉の影響がなかつた。短日葉が3枚の場合は, 長日葉の抑制作用が著しかつた。抑制が葉の分化に対してよりも茎の伸長に対して強かつたために, 程度の軽いロゼット状の生長が認められた。処理開始後82日に至るまで発らいしなかつた。一方, 長日葉を摘除し, 短日葉3枚だけとしたものは発らいした。下位の長日葉が生長と花芽形成との両面におよぼす抑制作用は, 長日葉で抑制物質が形成され, それが頂部に転流された結果あらわれたと考えられる。3. 上位の長日葉の影響。長日葉が3枚の場合, 初期15日間の茎の伸長と葉の分化が, 全葉短日区に比べて, やや抑制された。しかしそれ以後は逆に促進された。発らいが著しく遅れた。長日葉が7枚の場合は, 長日葉の抑制作用が茎の伸長に対して強くあらわれた。葉の分化に対しては, 初期だけやや抑制した。その結果, 程度の軽いロゼット状の生長が認められた。発らいは, 処理開始後82日に至るまで, 認められなかつた。上位の長日葉の花芽形成におよぼす抑制作用は, 長日葉が花成刺激の転流を抑制したためではなく, 長日葉で形成される抑制物質が頂部に転流し, そこで花成刺激の作用を抑制した結果, あらわれたと考えられる。4. 秋ギクの花芽形成と生長が, 短日葉で形成される花成刺激と長日葉で形成される抑制物質との, 頂部における量的割合によつて強く影響されると結論した。
- 園芸学会の論文