カンキツ幼樹に及ぼす土壌反応の影響 (第4報) : 窒素の施用量について
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概要
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1. カンキツ幼樹の生長に対する窒素の好適施用量を土壌反応との関係においてみるため, 窒素施用量3段階(1鉢当たり N 6g=標準区, 12g=倍量区, 18g=3倍量区) と土壌pH値4段階を組み合わせての要因実験を行なつた。2. 供試樹の生育について, 新梢伸長, 生体重増加, 各種形態別窒素の蓄積量などからみた場合, 土壌pHが7.0 前後では窒素を倍量施用したものが最もすぐれた。しかし, 土壌pHが 4.37〜4.50 では, 窒素を倍量ならびに3倍量施用したものがかえつて著しく阻害された。3. 土壌のECならびに全Nは当然のことながら, 窒素施用量の増加につれて増加した。また, NH4-Nは土壌pHが低下するにしたがい, 窒素施用量を増加するにしたがつて増加したが, 土壌の置換性Kは逆に減少した。また, NO3-Nは土壌pHの低下に伴い減少し, 窒素の施用量とは無関係であつた。有効態リン酸はpHの低下に伴つて増加した。4. 葉内のN形態についてみると, タンパク態-N,可溶性タンパク態-N, アミド態-N, NH4-N, NO3-Nは総じて窒素施用量の増加に伴い, また, 土壌pHの低下に伴つてその蓄積量が減少しているが, これに対しアミノ態-Nのみは逆に増加した。葉における不溶性窒素に対する可溶性窒素の比率はどの施用量段階においても土壌pHが低下するにしたがい低下した。5. 以上のことから, カンキツ幼樹に対する窒素の多用 (倍量ならびに3倍量施用) は土壌pHが高い (7.0付近) ときには差し支えないが, pHが低い(4.5前後) ときには, それが植物体の生育を著しく阻害することになる。
- 園芸学会の論文