栽培ギクの染色体研究 (第2報) : 栽培ギクの染色体数について (その2)
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概要
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1. 前報(3)に引き続き, 近年わが国で広く栽培されている各種栽培ギクの染色体数の広範な調査を行なつた。2. 本研究に供試した系統および品種数は次のごとくである: 洋ギクを含めた切花用大•中•小輪ギク127品種, ポット•マム11品種, クッション•マム7品種, 料理ギク13品種。3. 染色体数の調査結果は第1表に示した。その結果次のごとき知見が明らかとなつた。1) 各種類の栽培ギク (観賞用ギクを除く) はすべて, 2n=36, 52〜66の範囲内で種々の異数体品種を包含しているが, おのおのの出現ひん度は種類によつて異なり, 染色体数の変異の幅にも広狭が認められた。2) 切花用大•中輪ギク (和ギクおよび洋ギク) およびポット•マムは生態的, 形態的に著しく分化しているにもかかわらず染色体数の変異の幅は小さい。3) 2n=36なる一品種が切花用小輪ギク中に見いだされた。これは栽培ギクとしては最も染色体数の少ないものである。4) 料理ギクは観賞用大輪ギクに似た染色体数の変異を示す (2n=53〜56, 63, 64,66)。5) 切花用和ギクの開花期と染色体数および花色と染色体数との関係を調べた結果, 全体的に判然とした関連は認められなかつた。6) 各種栽培ギクのおのおのについて花の大きさと染色体数との関係を検討した結果, DOWRICKら(1,2,7)の指摘したような花径の大きさと染色体数との間の相関関係は認められなかつた。しかし観賞用大輪ギク品種群内では, 染色体数2n=54前後より2n=60前後におよぶ個体において巨大輪が多い傾向が認められた。
- 園芸学会の論文