果樹の葉内水分不足に関する研究 : (第7報)夏季の葉の水ポテンシャルが温州ミカンの収穫時の果実形質に及ぼす影響について
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概要
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ポット栽植および園地の杉山温州を用い, 夏季の葉の水ポテンシャル (ψ) が果実形質に及ぼす影響について検討した.1. 収穫時の果径および1果平均重はS-9bar (短期処理), L-9bar (長期処理) で小さく, その他の区と対照区の間には大きな差はなかった. 着色はS-9bar, L-9 bar が悪く, 他の処理間には一定した傾向は認められなかった.果実肥大が停止するか非常に緩慢になる water stressと思われた SL-7bar の晴天日1:00〜3:00p.m. のψおよびRL (日なた葉) はそれぞれ, -19〜-20bar と19.4sec/cmであった.2. 成木 (16年生杉山温州) では, 果実肥大が非常に緩慢になった日の1:00〜2:00P.m.のψ (日陰葉) およびRL (日なた葉) はそれぞれ, -16.4bar と 16.7sec/cm であった. 日なた葉のψは日陰葉より 3bar 前後低いと思われるので, これらの値は上記のポット試験の値と近似するものであろう.3. 乾燥処理 (ψmax-12.2bar まで乾燥) 終了後のかん水によって, 果実は急速に肥大し, 日中でも全く収縮することはなく, その日の肥大量は1.46mmにも達した. この急速な肥大には, 乾燥処理時の負の肥大量からの単なる回復以外の要因が関与していると思われる.
- 園芸学会の論文