温州ミカンの食味評価(第3報) : 嗜好ならびに抜取検査法の統計的考察
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概要
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温州ミカンの食味試験の結果にもとずいて, Bx, pHと嗜好度の関係を重回帰分析で検討し, 併せて格付けする際のサンプリングについても検討を行なった.(1) 温州ミカンの嗜好は複雑で, 次式のような6項からなる重回帰式が最も適していた.嗜好度=a0+a1(logBx)+a2(logBx)2+a3(pH)+a4(pH)2+a5(logBx•pH)ここでa0〜a5は定数で, 時期によって異なる.(2) 得られた重回帰式に, パネルメンバー, 収穫年度を異にして食味試験を行なった結果をあてはめても再現性は非常によかった.(3) BxとpHの平面に嗜好度の等高線を描画することによって, 温州ミカンの嗜好パターンを視覚的にとらえることができた.(4) 温州ミカンの嗜好パターンは, ミカンの出廻り時期によって異なり, 早生温州は甘いほど好まれ, 普通温州も甘いほど好まれるが, Bxに対応する至適pHの範囲がせまくなっている. 貯蔵ミカンは早生とは逆のパターンとなりすっぱいのが好まれる. この嗜好パターソは秋から冬, 春にかけて連続的に変化しているものとみなされた.(5) 格付の際, BxとpHの測定には無作意試料10個体で充分であり, その標本平均と母平均の差はなくなる. しかも, 1個体ずつ測定する必要はなく10個体からの2じょうのうの混合搾汁液の1回の測定で充分であった.(6) JIS-Z9003に従い. 生産者および消費者の損害をうける危険率をそれぞれ10%, 5%とすれば, BxとpHの実測値からそれぞれ0.5および0.15を差し引いた値を格付に用いるのが妥当であった.
- 園芸学会の論文