ニホンナシの和合及び不和合受粉後の花粉管の生長に伴うタンパク質の変動
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概要
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ニホンナシの自家不和合性の, 生理的機構を解明する手がかりを得るために, 「長十郎」の切枝を用い, 和合「二十世紀」, 不和合 (自花) 受粉後の花粉管の生長及びその形態, 雌ずい中のタンパク質の質的, 量的変化を調べた.1. 自家受粉した花粉管は, およそ36時間後に生長速度をおとし, 48時間後には花柱の基部で生長を停止した。一方, 他家受粉のものは, およそ96時間後に受精に至った.2. 自家受粉した花粉管の先端は, 36時間後には肥大し, カロースが異常に付着し始めるものが見られた. しかしこの時, 他家受粉のものは, 先端がとがっていた.3. 自家受粉した雌ずい中の水溶性及び膜バウンド性のタンパク質量は, 受粉後48時間まで変化はなく, その後徐々に増加した. 他家受粉した雌ずいでは, 両方のタンパク質とも受粉後24時間ごろに一時的な減少があり, その後急激な増加が見られた.4. 電気泳動で調べたタンパク質の泳動パターンは, 膜バウンド性の分画では, 自家及び他家受粉の間に72時間まで差は見られなかった. しかし水溶性分画では, 自家受粉のものは, 受粉後24時間めにNo. 7バンドのピークが増加し, その後減少した。一方他家受粉でのこのバンドは, 自家受粉のものと逆のパターンを示した. つまり, 24時間めに一時的に減少し, その後徐々に増加した. 無受粉でのこのバンドは, 自家受粉と他家受粉との中間的な動きを示した.
- 園芸学会の論文