温州ミカン果肉中の有機酸に及ぼす土壌の種類の影響
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概要
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花こう岩質土壌 (砂質) 及び第三紀層土壌 (粘質) にそれぞれ栽植された温州ミカン樹を供試して, 果肉中の有機酸濃度に差を生じる過程及び機作を明らかにしょうとした.1. 1果肉中クエン酸濃度は8月下旬を除けば常に第三紀層果実で高い値を示した. 一方, リンゴ酸濃度は果実の生育初期には第三紀層果実で高い値を示したが, 他の時期では差がほとんどなかった. 少量ながら含まれているその他の有機酸には, いずれの時期においても土壌の差は全くなかった.2. 果肉中クエン酸の絶対量は, 果実の全生育期間を通して第三紀層果実で高い値を示した. 一方, クエン酸絶対量が最高値に達する時期は花こう岩果実の方が早く, それだけ成熟が先行するのがうかがわれた. リンゴ酸絶対量は生育前半には土壌による差は認められなかったが, 後半には花こう岩果実でかえって高い値を示した. その他の有機酸には, 土壌による差は全くなかった.以上の結果から, 果肉中の有機酸の中で圧倒的に多いクエン酸により全有機酸濃度及び絶対量が左右されることが明らかになった.3. クエン酸濃度に及ぼす果肉肥大 (希釈) とクエン酸絶対量の影響を検討してみたところ, 酸合成の最盛期である7月にクエン酸絶対量の増加による1日の濃度上昇量が第三紀層果実で約30%も高い値を示した. また酸代謝の転換期である9月において第三紀層果実の方がおそくまでクエン酸絶対量の増加を示すため1日の濃度低下量が小さくなった. この2点が第三紀層果実のクエン酸濃度を, ひいては全有機酸濃度を高く推移させる原
- 園芸学会の論文