ウンシュウミカン果実の初期生長と品質との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ウンシュウミカン果実の初期生育と果実品質との関係を明らかにすることを目的として, 花の種類 (直花と有葉花), 開花時期, 着花(果)位置などが異なる果実の生長過程を調査した. あわせて砂じょうの発達過程の顕微鏡観察を行った.1. 生理落果による落果率は, 直花果で80〜90%, 有葉果で約40%であった. 直花果では早期開花の落果率が晩期開花よりも約10%高かったが, 有葉果では差が小さかった.2. 果実の横径は, 有葉果の方が直花果よりも常に大きく, 有葉花ではその生長速度も高かった. 晩期開花の果実は生育初期には早期開花の果実より小さかったが, その差はしだいに小さくなった. 晩期開花の果実では開花後40日までの生長速度が高かった.3. 子室の内壁に砂じょう突起が現れる時期は, 開花時期の早晩にかかわらず開花日とほぼ一致していた. 子室内が砂じょうで満たされる時期は, 開花時期の早晩にかかわらず6月19日ころであった. 開花後砂じょうが充満するまでに, 早期開花では40日を要したのに対して, 晩期開花では30日しか要さなかった.4. 有葉果, 早期開花の果実, 樹冠外周部の果実は, 直花果, 晩期開花の果実, 樹冠内部の果実に比較して大果であり, 着色度が高く, 糖度が高く, 酸含有率が低くて品質が良かった.5. 上記の結果から, 7月上旬から8月上旬までのおよそ1か月間に, 摘果しなければ低品質果として収穫されるであろう小果を摘除することによって, 高品質果の割合を増やすことができることが明らかであろう.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- ウンシュウミカンの着果が発育枝の光合成速度,暗呼吸速度,葉中遊離ABA濃度ならびに翌年の着花に及ぼす影響
- 38.ウンシュウミカンに対するエチクロゼートとエテホン混用処理による摘果効果 : 処理時期ならびに落果波相について (第24回大会研究発表抄録)
- 38 ウンシュウミカンに対するエチクロゼートとエテホン混用処理による摘果効果 : 処理時期ならびに落果波相について
- ウンシュウミカンの花芽分化期における内生ジベレリンについて
- カンキツの枝の伸長に対する植物矮化剤の効果
- 53 ウンシュウミカンに対するマレイン酸ヒドラジッドコリン塩(エルノー)の利用と作用特性
- 26.カンキツ枝の伸長抑制に及ぼす植物生育調節剤の影響 (第20回大会研究発表抄録)
- 26 カンキツ枝の伸長抑制に及ぼす植物生育調節剤の影響(1)
- 果樹栽培研究をめぐる諸問題 (輸入自由化時代の果樹産業と研究の方向)
- ウンシュウミカンの栄養器官における内生ジベレリン含量の時期的消長とパクロブトラゾール処理がジベレリン生合成に及ぼす影響
- カンキツに対するベンジルアミノプリン(BA)の利用 (第25回大会研究発表抄録)
- ウンシュウミカンのせん定が樹の生育と葉内アミノ酸含有量に及ぼす影響
- 温州ミカン果実の発育と品質に関する研究--特に開花時期と酸含有率との関係について
- ウンシュウミカンの成熟生理に関する研究-1-樹冠内における果実間の品質差をもたらす諸要因について
- 42 アリールオキシ酢酸系化合物の果樹幼果摘果剤への応用
- 韓国済州島のカンキツ
- 常緑果樹に対する植物成長調節物質の利用 (植物成長調節物質の農業的利用)
- ウンシュウミカンのせん定と施肥量に関する研究
- ウンシュウミカンの成熟生理に関する研究-2-果肉,果皮中の糖,有機酸及びアミノ酸の変化
- ウンシュウミカン果実の初期生長と品質との関係
- 温州ミカン果実の発育と品質に関する研究 : 特に開花時期と酸含有率との関係について