蕪菁の生育, 特に其の根割れに關する研究
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概要
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蕪菁の生長, 特に其の根割れ現象につきて, 昭和11, 12兩年に渉り2, 3の調査を試みて次の如き結果を得た。1. 蕪菁の生長は何れの品種も或る一定時期に至れば, 下記各項に述べる樣な略同一の傾向を有する生長をなすものである。只品種により或一定の時期を異にし, 本調査の如く9月6日播種では寄居は此の時期に達する事最も早く播種後43日目に, 小蕪菁は播種後56日目に, 聖護院は最も遲く播種後78日目となつて居る點のみを異にして居る。a) 葉長, 葉幅は生育停止するも, 葉數は多少増加して居る。b) 根長, 根幅は初め前者の生育優るも漸次後者の生育優り, 其の根形指數は1.00より小となり品種固有の根形を呈して來るが, 此の時期には兩者共生育を續けて居る。c) 葉重増加は停止せるも, 根重は増加して居る。d) 形然指數並T-R率は極限に達して居る。この兩者が品種固有の數値を示す事比較的早き品種程早生種であり, 遲き品種程晩生種である。2. 根割れ歩合につき調査した結果は次の如くである。a) 根割れ歩合は一般に扁平種は多く, 豐圓種は少く, 紡錘形種は前二者の中位である。扁平種に屬する品種には寄居, 近江大王寺があり, 紡錘形種には伊豫緋, 本紅赤, 札幌があり, 豐圓種には聖護院, 今市がある。b) 同一品種内に於ても扁平なるもの程直根割れするものが多い。c) 播種後收穫迄の日數長き程根割れ歩合が多い。3. 各品種の根割れ方法別の根割れ歩合を見るに, 一般に扁平種は肩割れ,中割れ多く, 直根割れは前二者に比し少い。然るに紡錘形種は肩割れ多きも,中割れ少くして, 直根割れは殆ど無い。豐圓種は肩割れ多く, 中割れ多少あり,直根割れは殆どない。莖割れは扁平種に多く紡錘形種は絶無である。然るに小蕪菁は根割れ方法より見る時は他品種と異なり, 肩割れ, 中割れ少く, 直根割れは最多である。4. 根割れの經過は一般に初め小龜裂を生ぜば, 其の後生長につれて漸次龜裂面積を増大する。殊に直根割れに於ては, 初め直根部片側に小龜裂を生じ,此れが直根を切半し龜裂面積を増大すると共に, 蕪菁は依然生育を停止せざる爲, 根形は漸次扁平となり, 加ふるに根割れ部分に多數の新根を發生する。5. 小蕪菁における折截處理調査結果は根割れ歩合とよく一致せる結果を示した。