和梨果實の袋掛に關する生理學的研究 (第1報) : 被袋材料の種類が果點並に果實内葉緑素の發達に及ぼす影響
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概要
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1. 本實驗は被袋材料の種類が和梨果實の果點コルク及果實内葉緑素含有量の發達に及ぼす影響を數量的に調査したものである。2. 實驗に採用した品種は, 緑色種として二十世紀, 太白, 菊水, 中間色種として赤穗, 眞鍮, 銹褐色種として長十郎, 早生赤の7品種で, 新聞紙, 〓紙,ハトロン紙及セロファン紙袋を掛け, 6月中旬, 7月中旬の幼果及各品種の成熟期に於て, 果點コルクの大さと果實内葉緑素含有量とを比較測定した。3. 果點コルクの發達は被袋材料の種類により影響せられること甚だ顯著であり, 特にセロファン紙袋内果實に於て發達明瞭である。この傾向は銹褐色種及中間色種に於ては顯著であるが, 緑色種に於ては左程闡明に表はれない。4. 表皮下一定の深さまでの果肉内葉緑素含有量は, 果實の被袋材料の種類により, 大なる變化を受け, 白色セロファン紙袋内果實は常に多量で, 黒色紙區は最少である。その他の各種袋に於ても比較定量をなし, 肉眼的觀察による果皮の緑色順位と對比して考察するところがあつた。5. 果肉内葉緑素含有量をその浸出溶液に就き比色計により測定した緑色順位と肉眼的觀察による果皮の緑色順位とは品種により必ずしも一致しないことは, 果實内葉緑素の發達が, 葉緑素の發達を支配する要因に對し反應する状態が品種により多少異るもののあることを暗示するものとして興味あることである。6. 果肉内に於ける葉緑體の各細胞層内の分布状態を組織の横斷切片に就き檢鏡したところによりば, 幼果期に於てはその分布區域大で且各細胞内葉緑素量も亦大であるが, 果實の發育と共に減少する。尚黒色袋内果實に於ては白色區のものに比し著しく葉緑體の分布量が減じてゐるのが認められる。
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