‘トロビタ’オレンジ葯からの植物体の分化
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概要
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‘トロビタ’オレンジの葯培養を試みた. 材料には1核期の花粉を含む葯を用い, 培地は, ショ糖を50g/lの濃度で, IAA及びカイネチンを種々の濃度で添加したMS培地を用いた.培養開始後, 約10週間で, 胚様体が葯から直接突出してくるのが認められた. IAA又はカイネチンを, 0.002または0.02mg/l含む培地で良く胚様体を分化した. またIAA, カイネチンのどちらか一方の濃度が高い場合,もう一方の濃度は低い方が胚様体を分化した. カルスは, 両者とも高い濃度の培地で良く形成されたが, 特に, カイネチンを高濃度含む培地で良く形成された.それらの胚様体を, 16時間照明8時間暗黒の条件下で培養すると, 幾つかは茎葉や根を分化した. また, 根の形成は, 胚様体を生長調節物質を含まない培地に移すことによって, より促進された.根を分化した植物体のうち, 幾つかの根端で染色体数を調査したところ, 2倍体であることが判明した. 葯から最初に分化した胚様体が, 二次的に, 多くの胚様体を分化することも, 半数体を発見できなかった一つの理由と考えられる.
- 園芸学会の論文