‘ふじ’果実の各種褐変障害の発生とみつ症状及びカルシウム散布との関係
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概要
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リンゴ品種‘ふじ’の貯蔵中に発生する各種の褐変障害, すなわち内部褐変, ゴム病, 果心線褐変及び果心褐変に対するみつ症状の影響及びカルシウム散布の効果を検討した.1. 内部褐変, ゴム病及び果心線褐変の発生は, みつ発生指数の高い果実ほど顕著であった. その際, 内部褐変及びゴム病がみつ発生指数4〜5の果実に特に多かったのに対し, 果心線褐変は発生指数2の果実でも30%を越える発生が認められた. ‘ふじ’のみつ症状は主として果心部に発生し, 果肉部に及ぶのはみつ発生が極めて顕著になってからである. 内部褐変やゴム病など果肉部の褐変障害が, みつ発生指数4〜5の果実に多かったのはそのためと推測される. また, 貯蔵中におけるみつ症状の消失の際, 果心線及び種子室周辺に最後まで残存することが認められたが, 果心線褐変がみつ発生指数2の果実にも多発したのはそのためではないかと考えられる.2. 果心褐変の発生とみつ発生指数との間には一定の傾向は認められなかった. しかし, ‘ふじ’のみつ症状が, 果心褐変の発生する種子室周辺からはじまること, 貯蔵中にもこの部位に最後まで残存することなどから, この障害の発生とみつ症状とは無関係とは断定できなかった.3. カルシウム散布に関する試験では, 果心線褐変と果心褐変だけが発生した. 果心褐変の発生は散布区と対照区との間で差がなかったが, 果心線褐変はカルシウム散布区でむしろ増加した. また, やけ症状の発生がみられたが, この障害もカルシウム散布区で増加する傾向が認められた.