ナルトミカン果皮のフラベド組織の脂肪酸組成に対する老化及び温度の影響
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概要
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成熟期におけるナルトミカン (Citrus medioglobosa hort. ex. Tanaka) のフラベド組織の中性, リン及び糖脂質の脂肪酸組成と量の変化を調べた. また, 貯蔵果を用いて, 老化並びに温度との関係を検討した.2年 (1982年と1984年) とも, 10月から冬季の中期までの着色期に各脂質の18:2 (リノール酸) 組成が増加し, 18:3 (リノレイン酸) 組成及び18:3/18:2比が減少した. 以後, 回青期に入ると, この傾向が逆転した. 1984年の糖脂質では, このような逆転はみられなかった脂肪酸の不飽和度は冬期に中性脂質では減少したが, 糖脂質及びリン脂質は, 減少がみられなかった. 各脂質とくに中性及びリン脂質の脂肪酸量は, 冬期に顕著に増加した.貯蔵中, 18:2組成が日数に伴って増加し, 18:3組成及び18:3/18:2比が減少した. GA処理によって, 果皮の老化並びに18:3組成及び18:3/18:2比の減少が遅れた. 5°C貯蔵では, 各脂質の18:3組成及び18:3/18:2比が20°Cより高い値を示した. また, リン脂質及び糖脂質の脂肪酸量は低温ほど多く, 糖脂質では5°Cは20°Cの約2倍を示した.以上の結果からナルトミカンのフラベド組織の脂肪酸の18:3組成及び18:3/18:2比は老化及び温度に伴って変化することがわかった. また, 冬期の各脂質の脂肪酸量の著しい増加は低温によるものと考察した.
- 園芸学会の論文